《第10章・想いの向こう側…②》

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長めのキスをされ唇が離れると、体がフワリと浮いて美和は松本に抱き上げられまたキスをされた。 『ん…離し…』 美和の言葉もキスでかきけされ… 唇が離れるとそのまま近くに止めた車へと連れて行かれ、ロックを解除する為に美和は地面に下ろされた。 つらくなるから… つらくなるからキスしないで… つらくなるから抱き上げないで… 美和はH高方向へ走り出そうとするが車から2㍍も行かない内に、松本に右手首を掴まれジタバタする。 『離して!離してってば!』 松本はため息をつきながら美和を引き寄せ、左腕は右のウエストへまわし車へと促す。 『嫌っ!』 『聞き分けのない!キスが足りないようね!』 コンビニから出てくる人達が2人を見て、ヒソヒソと話す様子に松本はきまり悪そうに小さく言った。 『人目があるわ、早く乗りなさい』 美和は周りの人達が興味深く見ている事に気付き、松本に助手席に乗せられるがままに。 松本はイライラと車に乗り込みエンジンをかけ周りに人がいなくなるのを見計らって、バス停近くのコンビニ駐車場から右折し美和がバスに乗ってきた国道を走る。 イライラとハンドルを人差し指で叩きながら運転する様子は、明らかに怒っているとわかる。 『お願い、H高に引き返して。まだ先生に会っていない』 『そんな事に気づいてないと思ってるの?わざとに決まってるじゃない』 相手を落とし入れようとする冷ややかな声質になってる事に美和は気づく。 『先生と約束してるからっ降ろして、引き返して』 『(笑)嘘ね、美和は言ってたじゃない。約束してないけどって』 『聞いてたの!』 『バスから降りて言っていたのをコンビニ駐車場から聞いていたから(笑)姉貴から昨夜電話があって美和がH高にバスで行く事を知っていたわ。 藤永さんから美和はこのバス停を使ってた事を聞いていたしね(笑)』 『私は…私は…H高に行きたいんだから!みんなで私のH高行きを阻止しょうとするなんて…』 『だったら途中で車を止めてあげるからサッサとH高にでも行けば良いわ!』 美和はシートベルトを外しドアに手をかけた。 『美和っ!何を!』 『降りるんだからっ』 ドアを開けようとするが走行してる為にドアのすき間から風が入ってきた。 松本は慌てて左にウインカーを出し用もない釣具屋の駐車場に入って加速を緩め少し斜めに駐車。 フーッと息を吐きハンドルに両腕を乗せ顔を腕にうずめる。 『美~和~』
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