灰かぶりの花嫁のなみだ

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高光さんの奥さまと赤ちゃんが亡くなった日から2日後に、うちでも深刻な事件が発生したのでありました。 アタシたちが暮らしている家に磐田市からおばのひでみが中学生の長女と小学生の長男を連れて実家へ出戻っていたのでありました。 おばは、ダンナのことが気に入らないので離婚をして実家で暮らすと言い出しましたので、母はおばが実家にいたら都合が悪いと言いまして帰るように言いましたが、おばがわがままをこねていましたので母がキレてしまったのでありました。 「義姉(おねえ)さま!!今すぐに実家から出てください!!うちは義姉さまにいられたら困るのです!!」 「困るってどう言うことなのよ…ここはアタシの生まれた家なのよ…」 「あのね!!うちはね!!よしみが結婚をひかえて大事な時期に来ているのよ!!そんな時に出戻られたら困るのはうちなのよ!!分かっているのかしら!?」 「しほ!!やめろ!!姉さん、頼むよ…磐田へ帰ってくれ…この通りだ…頼む…」 父は、おばに何度も帰るようにお願いをしていますがおばはなおもダダをこねていましたので、キレてしまったのでありました。 「帰ってくれと言ったら帰ってくれ!!オレの言うことが聞こえないのか!?」 「あなたやめて!!」 「しほは入ってくるな!!オラ!!よしみの幸せをズタズタにする気か!?」 父は、金属バットをふりまわしましておばとふたりの子供にイカクをしていましたので、母はどうすることもできなかったのでありました。 何なのよこの家は… アタシの居場所は… もうなくなってしまったみたい… アタシはこの時、実家で暮らして行くことに限界を感じていましたので家出をしまして遠い街で静かに暮らすことを決意したのでありました。
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