灰かぶりの花嫁のなみだ

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4⃣ 実家の人間関係にたえきれなくなってしまったアタシは、着替えとメイク道具が詰まっているボストンバックと財布とスマホと貴重品が入っている赤茶色のバッグを持ちまして伊豆急行下田駅から列車に乗りまして熱海方面へ逃げたのでありました。 熱海駅に着いたアタシは、東海道本線の静岡・名古屋方面へ向かう電車に乗り換えまして西へ向かうことにしたのでありました。 東京や横浜に行ったとしても、親しい友人や知人がいない…親族もいないし、心から安心できる居場所もないと思う… とにかく、西へ行くしかない… アタシはこの時、静岡以西の東海地方か関西・四国・九州方面へ行きまして女ひとりで生きて行くことを決意したのでありました。 アタシは高校中退で資格特技がありませんので、働けるとしましたら水商売か風俗店で働いておカネを稼ぐか男の人にすがりついて生きて行くか… どちらかしかない… アタシの気持ちは、なおも迷い続けていたのでありました。 3月31日の夕方5時過ぎに、電車は名古屋駅に着きましたので、アタシは一度電車を降りることにしました。 ボストンバックと赤茶色のバッグを持ちまして電車を降りたアタシは、ジェイアールナゴヤタカシマヤ(デパート)のエントランスホールにいまして、ひとりぼっちでベンチに座っていまして、この先どうやって生きて行こうか考えていました。 しかし、アタシの頭はどうやって生きて行けばよいのか分からない状態におちいっていましたので、考えれば考えるほど悲しくなりまして泣きたくなっていたのでありました。 そんな時でありました。 アタシが小学校4年生の(先生の)離任式の日まで仲良しでいつもアタシに優しくして下さったつき奈ちゃんと8年ぶりに再会をしたのでありました。
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