灰かぶりの花嫁のなみだ

14/72
前へ
/300ページ
次へ
5月7日の朝方に、父の弟でアタシのおじのもとひろが姉の実家に突然やって来たのでありました。 おじは、1ヶ月前に勤めていました網代(熱海市)のリネン工場を自己の都合でやめましたので、雇用保険の給付金が3ヶ月間おりないので生活に困っているので助けてほしいと言いまして父に助けを求めてきたのでありました。 しかし、父はおじを助けることはできないと言いまして出て行けと怒鳴りましておじを数回にわたりましてけとばしていたのでありました。 「甘ったれるな!!自己の都合で会社をやめておいて…何だその態度は!?よしみの幸せをズタズタにする気か!?」 「にいさん…ごめんなさい…ごめんなさい…」 この時、母が必死になりまして父をなだめて怒りを鎮めた後におじの手を引っ張りまして外に出しました。 家の庭にて… 母は、口をすっぱくしておじにこう言ったのでありました。 「もとひろさん…今うちはどうなっているのか分かっているのかしら…」 「分かっているよぉ…」 「分かっているのだったら家に来ないでちょうだい…あんたね…よしみの幸せをズタズタする気なの!?」 「そんなことは考えてはいないよぉ…」 「だったら…今すぐにでも帰りなさい…リネン工場の社長さんに頭を下げて…もう一度雇ってくださいとお願いをしなさい…あなたが仕事に向いて行こうとしないから長続きができないのよ…一緒にリネン工場へ行きましょう…アタシが社長さんにお願いをしておくから…あなたは…頭を下げて従業員さんたちにあやまりなさい…もう一度みんなと一緒に働きたいと伝えるのよ…もう一度、一から仕事を教えてもらうのよ…アタシも一緒になって社長さんと従業員さんたちにお願いをしてあげるから…行きましょう。」 このあと、母はおじを連れて網代のリネン工場へ行きました。 母は、リネン工場の社長さんと従業員さんたちに説明をしましておじを受け入れてほしいとお願いをしました。 おじは、どうにかリネン工場に復職をすることができましたが長続きできるかどうかは分からないのでありました。 アタシの考えでは、おじはおそらくまた職場放棄をするかもしれないと思っていたのでありました。 はたして、大安吉日の6月の第1日曜日まで持つかどうかにつきましては、依然として分からない状況下におかれていたのでありました。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加