灰かぶりの花嫁のなみだ

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1⃣ 時は2012年3月1日のことでありました。 場所は、伊豆半島の下田市赤間にあります一戸建ての家にて… 家の食卓には、アタシ・ゆきみ(18歳・会社員)と姉・よしみ(24歳・市役所勤務)と両親(母・42歳と父・48歳地銀の支店長)と祖父(80歳)がいまして朝ごはんを食べていました。 テーブルの上には、白ごはんとみそしるとアジの開きときんぴらごぼうとひじきとたくあん漬けが置かれていました。 新聞を読んでいた父は、居間に置かれているラジオから流れてくるニュース番組で、男性のアナウンサーが『今日は高校の卒業式が各地で行われます…』と伝えていたのを聞きましたので、大きくため息をついて『今日は高校の卒業式が…』と言いました。 今日は、アタシと同学年のコたちが高校を卒業する日でありました…が、アタシは高校を中退していますので、卒業式とは無縁でありました。 父が今日は高校の卒業式の日だなと言いましたのは、アタシに対してあてつけがませに言っていると思っていたのでありました。 アタシが高校をやめたことが… そんなにいけないわけなのかしら… いいな… 姉は結婚が決まった上に、何もかもが順調なのだから… アタシの姉・よしみは、市役所に勤務をしていまして、横浜に本社があります総合商社のエリート係長のゆういちろうさんとお見合いをしまして、プロポーズされて結婚が決まって…挙式披露宴の日取りがもうすぐ決まろうとしているみたいだから幸せな表情をしていました。 アタシは高校中退で、母方の親せきの家の運送会社で荷物運びのお仕事で月給7万数千円… アタシだけがみじめな思いをしているなんて… あんまりすぎるわ…
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