灰かぶりの花嫁のなみだ

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1⃣1⃣ 7月3日頃のことでありました。 この日は、梅雨明け間近を思わせるような暑さで不快指数がめちゃくちゃ高い日でありました。 アタシは、きしめん屋さんにバイトに行く前につき奈ちゃんが暮らしていましたマンションへ行ってみることにしました。 アタシとつき奈ちゃんが最後に会ったのは、6月の最終金曜日であったかと思いますが…あの日を最後にしましてつき奈ちゃんと連絡が取れなくなってしまったのでありました。 朝9時頃のことであったかと思いますが、アタシがつき奈ちゃんが暮らしているマンションに到着した時に恐ろしいシーンを目撃してしまったのでありました。 つき奈ちゃんが暮らしていた部屋のドアの前にて、派手なシャツを着ているチンピラ数人が大声で怒鳴り散らしているところを目撃しましたので、一体何が起こっていたのかと想いまして不安になっていたのでありました。 マンションの住人から聞いたところによりますと、つき奈ちゃんのお兄さんが大阪のやくざ屋稼業の組長の愛人の女性を寝とった後に駆け落ちをしまして、行方不明になっていましたので、組長がご立腹になりましてチンピラ数人につき奈ちゃんの身内を探し来いと言われていましたので、チンピラ数人がつき奈ちゃんが暮らしている部屋に怒鳴り込みに来ていたのだと思っていました。 つき奈ちゃん… もしかしたら… お兄さんが女性がらみ… いえ… やくざがらみのトラブルを起こしていたので… 大学生活を続けて行くことができなくなってしまったのかもしれない… つき奈ちゃん… アタシは、つき奈ちゃんのことが心配になりましたので赤茶色のバッグの中からスマホを取り出しましてつき奈ちゃんのケータイの番号に急いで電話をしてみました。 しかし、ツーツーツー…と言う通話中の音しか聞こえていませんでしたので、つき奈ちゃんはもしかしたら受話器を上げっぱなしの状態にしているのではないのかと想いまして、心配になっていたのでありました。 つき奈ちゃん… お願い… 電話に出てよ… お願い…
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