灰かぶりの花嫁のなみだ

30/72
前へ
/300ページ
次へ
「あのねおじさん…アタシはね…下田に帰りたくても帰る場所がなくなってしまったから、今頃帰ったとしても家はなくなっているのよ…実家の父は高校をやめるのだったら出て行けと言ったのよ…母と姉もよってたかってアタシを追い出したのよ!!そんな中で家族でもう一度やり直しなんてできないのに…どうしてアタシにばかり求めてくるのよ!?帰ってよ!!アタシはね…家族でもう一度やり直すことは一切考えていないから…おじさん方の運送会社で働く気はないし…高校…高校に行くことについても…アタシは勉強がゼンゼンできないから再入学をしないから…働きながら学ぶことも考えていないから…おじさん!!帰ってよ言っているのにどうして帰ろうとしないのよ!?」 「ゆきみちゃん…つらい気持ちは分かるけれど…おじさんは困っているのだよ…おかあさんが城井とやり直したいと言ってかたくなになってしまったのだよ…城井と別れろと言っているのだけど…言うことを聞かないのだよ…」 「おじさん…アタシ…思い切りあきれているのよ…どうして城井さんの家に怒鳴り込み行ったりしたのよ…おじさんが感情的になって城井さんの親きょうだいに『城井が(アタシの母)と密会したので文句がある!!』と怒鳴って行ったのでしょ…城井さんのきょうだいの気持ちをズタズタに傷つけたのでしょ!!どうしておだやかに話し合いができないのかしら!?」 「穏やかに話し合いをしたいのだけど…城井が言うことを聞かないのでより強い口調で言わないと城井は言うことを聞かないのだよ…城井は女性問題を起こしていて、やくざにからまれたこともあるのだよ…」 「だから反対だと言いたいわけなの!?」 「それに…城井の父親の一番下の弟さんが…やくざの事務所に入り浸りになっていて…バクチに手をつけてしまったのだよ…」 「もういいわよ!!要するにこう言うことなのでしょ!!城井さんの家の本籍地の家は、やくざがらみのトラブルを抱えていると言うことが原因だから母と城井さんが結婚することは反対をしていると言いたいのでしょ!!」 「ゆきみちゃん…おじさんの家はね…身内に政治家の先生がいるのだよ…弁護士さんとかお医者さんとか…あと…お役所の職員さんとか…とにかくえらいさんがたくさんいる家なのだよ…おじさんも地元の商工会の理事をしているのだよ…」
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加