灰かぶりの花嫁のなみだ

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3月19日あたりから、姉の気持ちもザワザワとさわいでいまして落ち着かない様子で過ごしていたのでありました。 3月22日頃に、姉も勤務先の市役所から挙式披露宴を少し延期をしてくれとお願いをされたのでありました。 姉が勤務している市役所の総務課にて… 時は昼休みでみんながお昼ごはんを食べに行っていましたので、事務所には姉と課長さんだけがいたのでありました。 ふたりはこんな会話をしていたのでありました。 「どうだね…ゆういちろうさんとはうまく行っているのか?」 「ええ…まあ…」 姉は課長さんに姉とゆういちろうさんの挙式披露宴をあげる日を伝えましたが、この時に課長さんから少し延期をしてくれと頼まれたのでありました。 「少し延期をしてくれって…どうして急にそんなことを…」 姉の問いに対しまして、課長さんは両手をあわせてすまない表情をしまして姉にこう言ったのでありました。 「すまない…いきどおる気持ちは分かるけれど…少しだけでいいから…挙式披露宴の日を延期できるかな?実は…高光さんが…4月から育休に入ることになったので…人手が足りなくなるのだよ…高光さんの奥さん…3月3日に赤ちゃんが生まれたのだけど…学校の先生で…新年度からの代わりの先生が見つからないから…育休が取れなかったのだよ…代わりに高光さんが育休を取得したのだよ…」 「課長がおっしゃっている少しって…」 「10年とか20年じゃないのだよ…高光さんの赤ちゃんが大きくなるまでの間…」 「どこが少しなのでしょうか…大きくなるまでって…何年かかると思っているのでしょうか?」 「だから、赤ちゃんが少し大きくなるまでの間なのだよ…高光さん…赤ちゃんのそばにいてあげたいと言っているのだよ…頼む…この通り…」 姉は、課長さんからの頼みに対しまして高光さんが残した仕事を引き受けることにつきましては仕方なく受けましたが、挙式披露宴の延期についてはあいまいすぎると思いまして結婚披露宴に出席する人数を市役所の同僚さんたちの人数を減らすことにしたのでありました。 姉は、職場に対しまして不信感を募らせるようになりましたので、次第に職場内でギクシャクを起こすようになってしまったのでありました。
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