忍ぶれど

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  その瞬間、 白い喉を晒してのけぞりながら 小さく啼いた志緒が、 この世で目にしたものの中で 一番綺麗なものだったってことは。 ──死ぬまで、 俺の秘密だ。 忍ぶれど。 忍ぶれど、 どうしても隠せないのが恋ならば。 俺のそれは、 志緒の中に隠してしまいたい。 珠緒さんに、 しばらく合わせる顔はないけれど。 心を込めて 手をかけてやれば、 女って本当に咲くんだ。 ……咲いたんだ、 こんな最低な俺の、 腕の中ででも。 .
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