雅文の独白

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瑞希が夜の相手を拒むようになったのは、子作りを諦めたせいだとわかっていた。 最後に体を重ねた時、俺は途中でダメになってしまった。 そんなことは初めてだった。 言い訳をするなら、瑞希が、子作りしないなら俺とのセックスなんてしたくないんじゃないかと思ってしまったんだ。つい。そしたら、途端に・・・。 その時、瑞希はこう言ったんだ。 『もう年なんだね、私たち』と。 だからもうしたくないと、俺にはそう聞こえた。 がっくりして、なにをしてもつまらなくなった。 瑞希にこれ以上呆れられたり、がっかりされたくなかったのに、そう思わせるような言動をわざとしていた。 瑞希の方から尋ねてもらいたかった。気にして欲しかったんだ。男のエゴってやつ。
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