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「玲菜、まだ見つからないの?」
昼休みの混雑する学食で、私は圭吾くんの向かいに座り、心配そうな声で訊いてみた。
彼は溜息を吐いたあと、黙って二度、頷いた。
そう、と私は呟いて、たいして美味しくもないパスタを口に運ぶ。
「彼女のお母さんも、警察に捜索願を出したみたいだから、きっと見つかるさ」
そのとき、自分がどんな顔をしていたかは分からない。
けれど、圭吾くんが言ったその言葉は、私を慰めるようなものだったから、ああ……今の私は一応、暗い顔ができているんだ、と思った。
だから心配しないで、と彼は続けて言って、眠そうな顔で笑った。
そうね、と私も答えて、今度は薄く笑ってみせた。
大丈夫よ……、心配なんてしていないから。
心の中で、そう呟く。
だって私は、彼女の居場所を知っているもの。
玲菜はね……、あの、桜の木の下で眠っているわ。
なぜ、知っていると思う?
それはね、
私が殺して、そこに埋めたからよ。
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