第1章

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 まあ、僕も成長しているわけだし、今では親と遊ぶような年でもないから、然程気にする事でもない。  程なくして帰り着いた自宅は、築18年と若干年期も入った二階建て。  見た目、そりゃ新築物件と比べりゃ比較にもならないけれど、綺麗好きの母親が毎日手入れをしてくれているから同築年数の家よりはずっと良い。 「あら、おかえり~」 庭で土をいじっていた母親が僕に気付き笑顔を向けた後、コイツにも気付いて同じく「おかえり」と笑って言った。  横でいつものように頭を少し下げたのを確認し踵を返すと背後から「今夜は貴方の好きな煮物にするわね~」と弾む母の声に、片手を挙げ応える。  2階の僕の部屋で横になりながら寛ぐコイツは、あまり自分の事を話さない。  常に無表情だけど、僕が家族の話をする時は少しだけ寂しそうな……そんな顔を見せるんだ。  だから僕から何も訊かない。  無理強いはしない。コイツがいつか話してくれたら、聞いてやろうって思っている。  夕食の時間になり一階へ降りれば、僕の大好きな煮物の香りがフワリと鼻を掠め、思わず芯下部を摩りながら生唾を飲み込んだ。
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