第1章

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「さぁ!さぁ!二人共食べなさい!お腹空いたでしょ~」  ダイニングテーブルに広がるどの料理も僕の大好物ばかり。 「んまそ!いただきます!」  向かいに母さん。  僕と友達が横並びで座り一緒に箸を進めた。  オムライスに甘煮物。味噌汁に、タラコスパ……。食べ合わせがおかしくないか?ってくらいにハチャメチャなメニューだけど、全部が好物だから全く気にならない。  横を見れば掻き込む様に食べる姿の奴に思わず吹き出し笑うと、逆に奴から指を差されて口元に付いたケチャップを指摘された。  母さんは僕と奴を交互に見て大笑い。つられて僕等も腹を抱えて笑った。  今日は一段と楽しい食卓を堪能していると、玄関から「ただいま」の声が聞こえ一斉に振り向いた。 「あー。なんか疲れたァ~」 2歳年上の姉貴がショートの髪を無造作に掻きながら怠そうに歩いて来る。 「うわぁ!美味しそぉ~」 サラダのミニトマトを摘む姉貴の手をピシッと叩きながら母さんが「行儀悪いよ!」と口元を緩ませながら注意した。 ブーっと頬を膨らませ諦めた様子で「シャワーして来るわ」と言い残し僕等に背を向けダイニングを出ていく。
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