第1章

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 幼い頃、男の子を泣かせてばかりのおてんばだった姉貴も、今では高校大学と〇〇クィーンとか言われてモテまくり。  だからって化粧お化けってわけじゃない。  弟の僕から見てもサバけた性格は幼少の頃から変わらず同性の友達が多くて、凄くナチュラルなんだ。  同じ高校に入った時にはよく「〇〇の弟」と呼ばれたけれど、別に苦でもなかったよ。  だけどいつからだったかな?  ストレートで綺麗な黒髪は、バッサリと切られ今は隠れていた項を露にする程ショートにしている。  風に靡いて揺れる細く黒い線が、結構好きだったのになぁ……。 「あの娘、彼氏が出来たのよ。この前連れて来たけど、ホントに良く出来た人で……母さん安心したわ」  頬杖をしながら心底安堵した表情を見せる母さんに、僕も微笑み無言で頷いた。  たった二人の姉弟だ。  姉貴には幸せになってもらいたい。 「髪、また伸ばせばいいのに……」  ボソッと呟くと「だな」と横から同感の言葉が聞こえ顔を盗み見ると、俯いたままだった。  コイツは髪の長い頃の姉貴も知ってたんだ。  ホントに一体いつから友達だったんだ?
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