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そんな事を考えながら少し温(ぬる)い緑茶で喉を潤していると、いつもの香(こう)がやんわりと風に乗って部屋に広がった。
「貴方はこの香りがお気に入りなのでしょ?」
「うん。よく覚えてるね」
「ふふ。貴方の部屋を掃除をした時に見付けたの。服も寝具も香りが付いて……。この香り、お母さんもお気に入りなのよ」
「そっか」と言い笑顔を見せれば、母さんもクシャりとシワをつくりながら笑顔になった。
僕はこの家族が大好きだ。
幼少の頃、よくキャッチボールをした父さんと……
優しくいつも笑顔の母さんと……
しっかり者で美人の姉貴と……
あー、家族っていいなぁ~って思いながら横を見ると、やっぱり無表情の奴が俯いていた。
「僕、お前と一緒に居れてスゲー楽しい。
だから、お前も家族と一緒だからな!」
ポンと肩を叩きながらそう言うと、一瞬瞳を大きく見開き驚いていたが、徐々に目尻を下げながら「ありがとう」と嬉しそうに笑った。
そうだよ。家族みたいなもんだ。
ご飯だっていつもこうして一緒に食べて、出掛ける時だっていつも一緒なんだから……
スゲー居心地がいいんだ。お前って……
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