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───俺がそう言うと嬉しそうに笑顔になる。
微笑み返し、俺は視線をまた『温かい人』に戻しその人へ話し掛けた。
俺の声に気付いたその人は口元を両手で隠し嗚咽交じりに涙を止めどなく流す。
「行ってくるから。長い間、ありがとう」
「わ、私は何もしていない。二人共いってしまうの?母さんを残して、いってしまうの?」
「俺は……産まれて直ぐ死んだんだ。双子のアイツに寄り添ってきたけど……。アイツも、こっちに来てもう直ぐ六年になる。
俺が行くべき場所にアイツを連れていくから……」
「お前には、何もしてやれなくて……」
俺は首を横に振りながら微笑み『温かい人』へ言葉を返した。
「俺がずっと視えてて怖がるどころか迎え入れてくれた。
だから全く寂しくなかった。
アイツが公園でボールを追い掛け事故で死んでからも、やっぱり変わらず『おかえり』と言ってくれた。
……だから」
───お礼をさせてくれ。
挙式が教会になったのも、偶然でなく必然。
俺がアイツを連れて行くから……
そして、俺からの贈り物を受け取ってよ。
……母さん。
言ってみたかった。
アイツみたいに……
『母さん』って────
「ありがとう……母さん」
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