プロローグ

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 SMSフロンティア支部の軍医であるカナリアは、コーヒーを飲みながらパソコンで先日行われた健康診断の結果を確認していた。  もちろん大人数の検査の結果を一人一人見るのではなく、カナリアがチェックするのはフロンティア支部の要となる、階級のあるクォーターのブリッジのクルーと戦闘機乗りのみである。  他の隊員たちは検査で引っ掛かった場合のみ、カナリアがチェックすることになっていた。  そしてある人物の電子カルテの項目に目が止まり、見間違いかと思いディスプレイに顔を近付けてもう一度よく見るも、自分の見間違いてないことを確認すると椅子の背もたれに身体を預けて思考を巡らす。  しばらくしてから身体を起こし、デスクの上の受話器に手を伸ばすと電話をかけた。 「もしもし、私だ。今どこにいる?それなら医務室に来てくれ。ちょっと見てもらいたいものがあるんだ」  カナリアの視線の先のディスプレイに映し出されたカルテには「五月カンナ」の名前が―――。
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