白の章 Ⅰ

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深紅の眼は、災禍のしるし。 いつからそうなのかは知らない。だが遠い古の時代より、人の中に現れたそれは災を呼ぶとして蔑まれ、迫害され、忌避されてきた。 そしていつしか、人は彼等をこう呼んだ。 人の世に祝われぬ者。 呪い人。 だから呪い人の多くは旅に出る。 ある者は孤独を選び、捨てきれぬ者はあてどない放浪者としての生を選ぶ。安住の地を夢見て新天地を目指す者もいる。 はるか天空に浮かぶ月姫の都には、呪い人の作り上げた街が有るというが…。竜でもなければ辿り着けまい。 「おっと」 くだらない思案を巡らせている内に、どうやら獲物が掛かったようだ。 「おお、中々引きがいいぞ」 こりゃ今日は豪勢な昼飯にありつけるかも。 ぐっ、と竿を握り、勢いよく引き上げる。飛沫が上がり、大きな魚が顔を出す。 パーチだ。相当でかい。 この湖を選んだのは正解だった。魔物も出るが相応の見返りがある。しばらくここを拠点にするのもいいかもしれない。
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