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「おおー、大したもんだ」
頭上からの拍手が響く。
「なんだお前」
見上げると、樹の上に亜人種が尻尾を巻きつけてぶら下がっている。
妖精猫(ケット・シー)。
「いやあ、こんな山奥に人が入ってくるなんて珍しいと思ってね。観察させて貰っていたのだけど、まさかヌシを釣り上げるとは」
「ヌシ?」
「そいつだよ、君が今釣り上げたパーチ。いやー、私もずっと狙っていたんだけどねえ。先を越されちゃったなあ」
ははーん。
こいつの狙いは、この魚か。
妖精猫は悪知恵が働くらしいからな。どうにかして、俺から魚を奪おうって算段だろう。
が、悪いがこっちも生活が掛かってる。やすやすとくれてやる訳にはいかないな。
「ねえ君」
そらきた。さて、どんな搦手で来るか。
「その魚、私と半分こしよう」
「 」
うーむ、ストレートすぎて言葉が出てこなかった。
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