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「あんた本当は、呪い人の事なんて何にも知らねえだろ」
「深紅の眼は災禍のしるし、魔性の呪いは人々を狂気に導く、かい?あんなのはただの噂だよ。実際の所、君達は正常な人間と何も変わるところは無い。数多の呪い人と接してきた私が言うのだから間違いない」
いや、そもそも呪い人と関わろうなんて奴がそうそう居ないと思うが…。
「何が目的なんだ、本当に。そもそも何処へ行くって言うんだ?」
奴は大仰に指を天に差し言う。
「呪いの根源。大いなる聖域のたもと。答えはそこに有る」
…
「ああ、胡散くせえ。こんなに胡散くせえ奴は初めてだ。もういい、魚はやる。さっさとどっか行け」
斬る気も無くした。
俺は刀を収め、奴に背を向け歩き出す。呪い人に関わるどころか、魔物が蔓延り、瘴気で近寄る事すら出来ない聖域に行くなどと。
ありゃ馬鹿って言うより、自殺志願者だな。長くはないだろう。
まあ面白い奴ではあった。冥土の土産に魚くらいはくれてやってもいいか。
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