白の章 Ⅰ

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で。 「…お前さあ」 「にゃんだい」 なんだその取って付けたようなキャラ。あざといつもりか。 「何で付いてくんだよ!魚はやったろう。これ以上俺に無茶苦茶な夢想話を聞かせるつもりか?」 「いやいやいや、夢想話はひどい。これでも私、真剣なのだけど。それにあそこまで人に話させておいて、君の事は全然聞けなかったじゃないか。あんなちっぽけな魚一匹では釣り合わないと思うね」 「ヌシとか言ってたくせになんだそれ。手に入れた途端それか。ガキめ」 「あのー私、これでも息子いるんだけど。君と同じくらいの」 マジで? 成人してないと思ってた。 「て、そんな事はどうでもいい。早く帰れ。もしくは死ね」 「ひどい、ひど過ぎる。よし分かった」 「そうか」 「君に意地でも付いて行くよ。私の話が夢想なんかじゃないって事を証明して見せよう。ああ、そういえば君の名前もまだ聞いていないのだった。にゃんて言うんだい?」 「帰れや!」 こうして、俺とカイトは出会った。 そしてこの出会いが、俺の人生を大きく動かし、やがて大きな渦に巻き込まれて行く事になるのだが、それはもう少し先の話になる。 そして、あいつの運命にも。
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