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で。
「…お前さあ」
「にゃんだい」
なんだその取って付けたようなキャラ。あざといつもりか。
「何で付いてくんだよ!魚はやったろう。これ以上俺に無茶苦茶な夢想話を聞かせるつもりか?」
「いやいやいや、夢想話はひどい。これでも私、真剣なのだけど。それにあそこまで人に話させておいて、君の事は全然聞けなかったじゃないか。あんなちっぽけな魚一匹では釣り合わないと思うね」
「ヌシとか言ってたくせになんだそれ。手に入れた途端それか。ガキめ」
「あのー私、これでも息子いるんだけど。君と同じくらいの」
マジで?
成人してないと思ってた。
「て、そんな事はどうでもいい。早く帰れ。もしくは死ね」
「ひどい、ひど過ぎる。よし分かった」
「そうか」
「君に意地でも付いて行くよ。私の話が夢想なんかじゃないって事を証明して見せよう。ああ、そういえば君の名前もまだ聞いていないのだった。にゃんて言うんだい?」
「帰れや!」
こうして、俺とカイトは出会った。
そしてこの出会いが、俺の人生を大きく動かし、やがて大きな渦に巻き込まれて行く事になるのだが、それはもう少し先の話になる。
そして、あいつの運命にも。
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