白の章 Ⅱ

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「心配はしていないさ、仔細友人に任せてある。それに、元々私はずっと旅をしているからね。懐かないんだ、子供達が」 「うはは、そりゃそんな胡散臭いツラじゃ懐かれねえわ」 「支払い割り勘ね」 一人で好き放題食ってそれ言うか。 ___ 「たたたた、大変だ!」 日も沈み、騒がしかった酒場も落ち着きを見せた頃。この近辺では珍しい客が慌ただしく駆け込んできた。 「おやまあ、人間族だ。どうしたんだい、こんな所に」 犬頭の店主が尋ねる。 店主が言う通り、ここに人間が顔を出す事は稀だ。ヴィクトリア王国の南端、獣人ギルドが集まる外れの街。人の住む地域からはほど遠い。 「あんたも呪われた口かい?まあ人間なんて薄情なもんさね、一杯やりなよ!」 「そーだそーだ、大体人間族って奴ぁ俺は嫌いなんだ、調子に乗りやがって」 この街の奴等は比較的、呪い人に寛容だ。はぐれ者どうしの共感か、憐れみか。どうにせよ、俺の様な呪い人にはありがたい。 「お、俺は呪い人なんかじゃない!ああ、そんな場合じゃないんだ!竜が出たんだよ、竜が!」 「ぷっ」 「あははは!おい、誰だこの人間に幻覚見せたの!」 「にいちゃん酔い過ぎだー。少し頭冷やしてきなよ」 「駄目ら!もっと飲むのら!」 「おめえに言ってねえよ!ははは!」 爆笑の渦が巻き起こる。
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