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「くそったれ!」
俺は咄嗟に刀を抜き、奴の顔目掛け斬りつける。少しでも怯んでくれればいいと思ったのだが、結果的にこれが俺たちに勝機をもたらした。
「お?」
苦し紛れに放った一撃だったが、思いのほか奴には有効らしかった。発情期のウシガエルみたいな呻き声を上げながら、奴が仰け反る。
「カイト!」
「はいよっ、と」
辺りに多量の煙が立ち昇る。やっぱり煙幕持ってやがったか。初めから使いやがれ。
が、余りに煙の量が多いせいか、視界は真っ白だ。
「撒きすぎだ馬鹿!奴は何処にいる?」
近くに居るであろうカイトに叫ぶ。
「左に全速二十歩ってところだね。かなり怒ってる。無茶苦茶に腕を振り回してるよ」
猫妖精七不思議の一つ、猫センサー。こういうときには役に立つ。
って隣に居たのか。少しビビったわ。
「場所さえ分かりゃあこっちのモンだ。攻撃は通る!カイト、こいつはもしかするかもだ」
「あれ、一人で逃げるんじゃなかったっけ」
「うっせえ、聖域行く前の腕試しだ!行くぜ!」
反撃開始だ!
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