白の章 Ⅱ

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「カイトおじさま、お久しぶり。この子はお友達?」 無邪気な笑みで、少女は言う。 「…カグヤ。君が来たって事は、そういう事なんだね」 「ええ、お父様はもう、壊れてしまったわ。身体も心も壊れてしまった。可哀想なお父様。だから、おじさまにも死んで貰おうと思って」 「すまない、カグヤ。私にはまだ、やるべき事があるんだ。死んであげる訳にはいかない」 「まだ呪いを解くとか言っているの?無駄な事を飽きもせずよく頑張るわねえ」 「おいコラ、女」 言葉が出てくるまで時間が掛かった。こいつはヤバイ。 さっきまで闘っていた邪竜など、こいつに比べれば赤子だ。なんだこれは、人間の形をした悪魔か? 「俺を無視して話進めてんじゃねえぞ、ああ?大体テメエは何だ、カイトの知り合いか」 冷や汗が止まらまいまま、精一杯の虚勢を張る。ここで折れたら、多分二度と立てなくなる。 「なんなの、あなた邪魔。とりあえず死んどいてくれる」 少女の躰から黒い魔術が放たれる。ケタ違い過ぎて、笑えてくる程の魔力。 「ヒジリ、撤退だ!逃げろ!」 カイトが叫ぶ。 「うっせえ馬鹿!お前が逃げろ!」 最初っからこんなのと闘う気なんてねえよ。死ぬに決まってんだろ。
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