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だがな、聞いてる限りじゃこいつはお前を狙ってるんだろ。なら死ぬのは俺の方がいい。なんせ俺は呪い人だからな。
「ヒジリ!」
あー、こりゃ塵も残らんかな。死ぬの何年ぶりなんだろ。まあ次の人生も上手くやれよ、俺。
今回は悪くなかった。変な奴にも出会えたからな。お前との一年、そこそこ楽しかったぜ。
こんな気持ちも、覚えてないんだろうなあ。それだけが少し悔しい。なあカイト、次に会った時も元気でいろよな。
「駄目だよ、ヒジリ。まったく、君も大概馬鹿だ」
「な…」
しかし、庇われたのは俺の方だった。少女の魔術がカイトを貫く。
「こ…のクソバカ!何やってんだ!」
「言ったろ、不幸を背負い込み過ぎだって。そんな事ばっかりしてるから性格悪いんだ君は」
「うるせえ!お前は呪い人じゃねえんだ!死んだら終わりだろうが!」
てか、こいつなんで生きてるんだ。あの魔術食らって。
「呆っきれた。姉様のペンダント、まだ持ってたの」
カイトがいつも身につけていたものだ。これが魔力を吸い取っているのか。
「ヒジリ、早く逃げろ。彼女の目的は私だけだ。君一人なら追っても来ないはず」
「うっせえ黙れ」
俺はカイトを背負い走り出す。
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