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「あー、ちょっと待ちなさいよ!」
少女が追ってくるが、足は遅い。身体能力は見た目なりなのか。
チャンスだ、距離を稼げるだけ稼ぎ、また魔術を使われる前に、全力で逃げる!
行くぜカイト、落ちんじゃねえぞ!
「あーあ、行っちゃった。まあいいわ、おじさまなんていつでも殺せるし。またね、おじさま」
「帰りましょう、ファフニールちゃん」
___
「っは…ここまでくりゃ大丈夫か…きっつ」
赤草ヶ丘を駆け下り、街道をひたすら走り続け何とか獣人の街まで戻ってきた。
「ヒジリ、ありがとう」
「けっ。目の前でグロ画像見たくなかっただけだ。死ぬなら一人で死にやがれ」
「優しいね、君は」
「あーもー、うるせえな!つか何なんだあれは!あんな化け物と知り合いなんて聞いてねえぞ!」
「彼女はまあ…あそこの持ち主だよ」
カイトが指差す先には、天空に浮かぶ浮遊大陸。
「…あれが?」
「そう、月姫。で、私の義妹」
ん?
「てことは、お前の嫁さんて、王族なの?」
「まあ、そうだね。君には言いたく無かったんだけど…」
「超金持ちじゃねえか!財産寄越せ!テメエの命の恩人だろ俺は!」
「そう来ると思ったから言いたく無かったんだよ!」
いつものやり取りだった。
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