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僕は子供が嫌いだ。
無邪気で、傲慢で、残酷。
おまけにか弱いから扱いに困るのだ。
怒ればすぐ泣くし、そのくせ5分も経てばけろっと忘れてまた突っかかってくる。
毎日毎日ガキのお守りで消費されていく日々。ああ、今日もまた、気を使いすぎて胃に穴が空きそうな1日が始まる。
「クロウにいちゃん、決闘しようぜ!」
今日はおまえか、ルイ。
「やだよ、めんどくせえ。剣の練習なら一人でしろや」
「えー、つまんねー!今日は新技があるんだぜ!」
ルイは模擬刀を構える。が、構えが滅茶苦茶だ。まあ子供と言うのは、格好から入りたがるものか。
「どーせまたキンタマ蹴りー!とかだろ?しょーもな。大体お前超弱いじゃん」
「なんだと!キンタマ蹴りを馬鹿にすんな!それに今日はちゃんと剣術だぜ!にいちゃんとか、なんか、一発でしぬぜ!」
そうか、一発で死ぬのか。それは凄いな。
「ほーん。言うねえ、ルイ。なら試してみるか?ほれほれ、にいちゃんに一撃でも入れられたら土下座してや」
言うか言わぬかの内に、僕の太腿にぽこん、と音がする。呆気に取られた僕の顔を見てか、ルイが誇らしそうに笑う。
「っしゃあ!どーだ、秘剣、はやぶさ剣だ!ほれほれ、早く土下座してよ。どーげーざ」
不覚。
なんという不覚。
仮にも騎士である僕が、こんな鼻水小僧に一撃食らうなんて。
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