騎士の章 Ⅰ

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「ロズウェルならやりかねんな。あのクソジジイは昔から権力にしか興味がない奴だった。しかし、奴にそんな人望があるとは思えねえが」 「其処が不可解なんです。仰る通り、ロズウェル宰相を嫌っている者は数多い。これ程早く城内を纏められるとはとても…」 「そうだな。こりゃ、本人に聞いた方が手っ取り早そうだ」 「本人に聞くって…ちょっと、団長」 言うが否や、団長が囚われていた鉄格子は物凄い音を立ててその役割を終えた。 「んじゃま、ちょいと行ってくるわ。俺は早く済ませて帰りてえんだ。クロウの奴一人じゃ心配だからな」 「あっ、待って、待って下さいよ!」 「ゆっくりしとけよ。心配しなくても後で開けに来てやるよ、覚えてたら」 欠伸をしながら、団長は行ってしまった。あの人本当に人間なんだろうか。 って、冗談じゃないわ。いつまでもこんな所に閉じ込められてたまるもんですか。 「ビネガー、オーヴァン、そこに居るわね」 一緒に捕えられた騎士に声を掛ける。 「はっ。私ども、何時でもクリス様のお側におります」 「どうだっていいわ…。貴方達、ここの鍵持ってたわよね。貸して頂戴」
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