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「はっ。少々お待ちを。…ぅごぇ!…どうぞ、鍵でございます」
嗚咽音と共に、何かでネバネバした鍵が私の牢の前に転がってきた。何処から出したのかは、この際聞かないで置こう。そっちの方が幸せかもしれない。
うっ、臭い。
予期せぬ問題に直面しながらも、内側から手を伸ばし鍵を取る。よし、開きそうだ。
かしゃんと音がして、鉄格子が開く。ふと団長のいた牢屋を見ると、鉄の棒が飴細工のようにひん曲がっている。あの人やっぱり魔獣かなにかじゃないかしら。
そんな所も格好いいのだけれど。
「恋でございますなあ。ところで私共の牢も開けてもらえませぬか。その鍵で。私の大事な所から出した、その鍵で」
「…」
「あの、クリス様」
「後で開けに来てあげるわよ、覚えてたら」
頑張って忘れよう。
「クリス様ぁー」
___
なんとか地下牢を抜け出したは良いけれど、まずは武器ね。団長じゃあるまいし、丸腰で敵だらけの城内を歩きたくないわ。
となると、武器庫。没収された私の剣があると良いのだけれど…。
「あっ、クリス!」
げっ、早速見つかった。
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