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まあ、少し落ち着こう。
相手は子供だ。
むきになっても仕方がない。
それにあんなのは、いわば反則だ。
これが本当の決闘だったなら、騎士道精神に反するとして観衆から大ブーイングを食らうところだ。よかったなルイ、相手が僕で。
しかしまあ、こうやって卑怯な手を使ってでも勝とうとするこの子の将来が少し心配ではある。一応師範は僕になるのだ、恥になる戦いなどしてほしくはないからな。少し叱っておくくらいはいいだろう。
僕は一分にも満たぬ力でルイの頭を小突く。いや、本当にほんのちょこっとなんだって。本当ですよ。
「っ痛!あにすんだにいちゃん、大人気ねーぞ!」
「はー?そんなの知りませーん、せこい事したお前が悪いんですー」
ふむ、子供を馬鹿にして遊ぶと言うのは気持ち…いや、これは指導だ。情操教育は大切だからな。
情操教育ついでにもう二、三発くらい小突いていいだろう。くらえくそガキ。
「にゃろ、こっちが届かないからって卑怯だぞ!くそっ、バカにしやがってー!」
「おらおら、かかってこいや!大人に勝とうなんて10年早えんだよ、バーカ!」
「…もーやだー!クロウにいちゃんいっつもムキになるんだもん、練習にならないよー!」
勝った。
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