騎士の章 Ⅰ

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「クリス貴様ぁ!反逆者が!」 「くそっ、誰かあいつらを止めろ!早く!」 ひたすらに前を見て疾る。 幾つかの門塔と広間を越え、私達は城の主塔へ続く唯一の入口、太陽の大扉を目指していた。 ロズウェルは反乱を怖れ、鉄壁の要塞である主塔へ聖騎士達を引き連れて自らの身を守っているらしい。 全く、小者のテンプレみたいな奴だわ。 「聖騎士様ってのも大した事無いんだねえ。私みたいなロートルにやられちゃってどうすんだい」 ミラルダさん、貴女に勝てる騎士って中々居ないと思いますよ。 「クリス!それでも君は誇りある聖騎士か!」 大扉へ続く大回廊、目の前に覚えのある顔が現れる。ああ、こいつ確か聖騎士団の…なんだっけ。 「私は嘆かわしい、君のような可憐な人がこのような蛮行に走るなんて。その美しい髪、透き通った碧色の瞳、艶やかな唇。そんな君が、大きな剣を振り回して…!バッド!さあ、そんな野蛮な武器は捨てて、この私と共に謝りにゆこう。大丈夫、何も心配する事はないよ。ロズウェル代行陛下殿もきっと御許し下さるさ。なにせ私の父はァーッ!」 「話が長い!文字数考えろっ!」 剣の腹でぶっ飛ばす。城郭から落ちて行ったけど、まあ死にはしないでしょう、多分。 「クリス、あれ!」 ジャンヌが指差す。 目的地、太陽の大扉が見える。その真下で、見知った人物が気怠そうに立っていた。 「団長!」 「何してんのお前、楽しそうだな」
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