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団長はこれを予測していたのかしら?あの騎士とのやり取りといい、王の影響と言うより、姫様に関係が…まさかね。
取り敢えず、今は一刻も早く孤児院へ行かないと。
「うきゃー」
「フレイ!如何したの!」
大槌を握ったままのフレイが吹き飛ばされてきた。怪我もしている様だ。
「ジャンヌ、治癒お願い。それにしても、貴女がやられるなんて一体…?」
「クリス!ヤバいのが来たよ!」
キマイラを調理していたミラルダさんが慌てて駆けてくる。これは…竜族クラスが出てきてもおかしく無い展開だ。
地を割く咆哮。周囲に瘴気が溢れる。私達の前に現れたそれは、今迄倒してきた魔獣などとは比較にならない奴だった。
いや、比較とか、そんな問題じゃない。こんなのって…。
「そ…んな」
月獣フェンリル。
姫様の、召喚獣。
「クリス!ぼけっとしてんじゃない!」
ミラルダさんに蹴り飛ばされる。私のいた場所に、大穴が空いていた。
「あ…」
声にならない。絶望感より、困惑が強かった。
考えない様にしていたんだ。ロズウェルの事も、あの月光の騎士の事だって。
姫様がそんな事をする訳がない、姫様が私達の敵になる事なんてあり得ない。だって姫様は私の…
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