2人が本棚に入れています
本棚に追加
「クリス、落ち着きな。はい、深呼吸」
崩れ落ちそうになった私を、旧友が支えてくれる。
「…ジャンヌ」
思い切り息を吸い込む。
「あんたがカグヤ様を敬愛してるのは知ってる。小さい頃に命を救われた事も。だから気持ちは解るよ。けどねクリス、あんたには今やらなきゃいけない事が有るはずだ。違う?」
「ちがわない…」
「しっかりしなよ、リーダー。あんたが折れちゃ、あたし達まで駄目になっちまう。あたし達が知ってるクリスは、こんな事で曲がる程やわな女じゃない。何時でも真っ直ぐが、あんたの唯一の取り柄なんだぜ」
「…うん」
知らぬ間に涙目になっていた。少し恥ずかしい。
「ごめんね、ジャンヌ」
「いいってことよ」
でも、真っ直ぐが唯一の取り柄ってのは許せない。あとで喧嘩しよう。
うん、だから今は私の役割を果たすんだ。
余計な事は考えるな。
月獣が吼える。どうやら完全に私達を獲物と見なしたらしい。
「私がやる。あんたら下がってな」
「駄目です。ミラルダさんの武器じゃあれの弱点に届かない」
私は強い口調でミラルダさんを止める。
「何か策があるのかい」
最初のコメントを投稿しよう!