騎士の章 Ⅰ

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戦力差は歴然、私達が全員で叩いても奴に通るかは五分五分、いや、返り討ちにされる確率が高いか。 逃走、駄目だ。フェンリルは雷を操る。距離が空けば空くほど私達には不利になる。 この状況から、私達が目的を果たすには…。 うん、これで行こう。 「フレイ、皆にありったけの攻撃エンチャント掛けて!ジャンヌは治癒魔術を、魔力の尽きるまで!ミラルダさんは、私と一緒に奴に近接戦を挑みます!良いですね!」 「あんた、無茶する気なら許さないよ」 ミラルダさんが見通した様に釘を刺す。ああ、これも散々経験した。この後は、あの拳骨が私の頭に…あれ本当に痛いのよね。 だけど此処で折れる訳にはいかない。なにせ私は真っ直ぐだけが取り柄なんだから! 「勝算の無い作戦を私は立てません。信じて下さい、ミラルダさん」 「…無茶したら拳骨だからね」 よしっ。 「では行きますよ!戦乙女の矜持、見せてやりましょう!」 「あー、ミラルダのぱくりだー」 「あんたって胸以外に独創性も無いのね、可哀想な子」 「教育を間違えたかねえ」 台無しだよ!
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