騎士の章 Ⅰ

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「いっけえぇっ!」 あの時渡されたツヴァイヘンダー。これじゃなければ、届かなかった。 召喚獣の肉体には必ずある、顕現の刻印。この距離じゃないと、何処にあるか見えやしない。 そして、ポンコツな私にでも出来る唯一の、召喚獣の倒し方。刻印に少しでも傷を付ければいい。 「ガアアアアアアッ!」 断末魔を上げながら、フェンリルが消えて行く。衝撃で左腕まで持って行かれちゃったけど、まあ、私にしては上々だわ。 へへっ、ざまあみろ…。 アクセル団長風。やっぱり私がやっても、様にならないなあ。 「クリス!」 あ、馬鹿ジャンヌ。何やってんのよ、後は頼んだって言ったのに。 「この大馬鹿!あんた最初からこのつもりで…!」 残念、馬鹿はあんただ。後でこてんぱんに泣かしてやる。 って、今泣いてんじゃないわよ。もーいーから、さっさと孤児院に急ぎなさい。クロウ君が美味しい御飯作ってくれるわ。 そうだ、私も行かないと。 あれ、何処に行くんだっけ。 駄目だなあ、やっぱり私、ポンコツだ。
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