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色々な事を聞いた。
瀕死の私を背負って、孤児院まで辿り着いた事。
着いた時には此処はもぬけの殻で、クロウ君も子供達もすっかり居なくなっていた事。
私が一ヶ月も目覚めなかった事。
その間、世界中に魔獣が溢れ出し、今は人間は外を出歩くのも難しくなっている事。
ミラルダさんは一度、アクセル団長を迎えに城まで行ったらしいけれど、城には強力な結界が張られてて、近づく事さえ出来なかったとか。
何度も泣きながら、謝りながら、ミラルダさんはそんな事を話してくれた。
私は、今迄の人生で一番の後悔をした。団長から頼まれた使命も果たせず、皆に迷惑を掛けて。挙げ句の果てに、もう戦う事すら出来ない身体になって。
ミラルダさんは自分が悪い、自分の所為だとずっと言っていたけれど、すべては私が原因じゃないか。
こんなに想ってくれている人が居るのに、私は自分の事しか考えてなかった。
「ごめんなさい、ミラルダさん。全部、私が悪いんです」
涙が止まらなかった。ミラルダさんにすがり付き、子供みたいに泣いた。
ミラルダさんは、何時までも私の頭を撫でてくれていた。大丈夫、大丈夫だよって、母親のように甘えさせてくれた。
柔らかな膝の上で、私はまた、眠りに就く。
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