騎士の章 Ⅰ

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そして、夜が明ける。 「美味しいかい?」 「はい!」 目を覚ました私を待っていたのは、透き通るようなコンソメスープと、沢山の野菜、それに、大好物の豚の丸焼き。いつ私が目覚めてもいいように、毎日作ってくれていたらしい。 「ゆっくり食べな、かき込むと体に悪いから」 「ありがとうごさいます…」 利き腕が残っていたので、食事に不便は感じなかった。ああ、スープが胃に染み渡る。 生きている事の有り難みを、死ぬ程噛み締める時間。皆が居なければ、私はとうに死んでいたのだ。 一ヶ月分の空腹が満たされ、また眠くなってきてしまったが、今日は大切な用事がある。 「あの、ミラルダさん、ジャンヌの事なんですけれど」 「あの子なら外に魔獣狩りに出てるよ。数が多いから少しでも減らしておかないと、安心して眠れやしないからね」 「そう、ですか…」 本当は、一番に謝らないといけなかった。 大切な友人を、私は自分の都合で裏切った。叩かれたのも、それだけ心配してくれていたからなんだ。それなのに私は、ジャンヌの気持ちなんて全然解ってなくて。馬鹿ジャンヌなんて言って。 馬鹿は私だって、ちゃんと謝らなきゃ。
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