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そして、夜が明ける。
「美味しいかい?」
「はい!」
目を覚ました私を待っていたのは、透き通るようなコンソメスープと、沢山の野菜、それに、大好物の豚の丸焼き。いつ私が目覚めてもいいように、毎日作ってくれていたらしい。
「ゆっくり食べな、かき込むと体に悪いから」
「ありがとうごさいます…」
利き腕が残っていたので、食事に不便は感じなかった。ああ、スープが胃に染み渡る。
生きている事の有り難みを、死ぬ程噛み締める時間。皆が居なければ、私はとうに死んでいたのだ。
一ヶ月分の空腹が満たされ、また眠くなってきてしまったが、今日は大切な用事がある。
「あの、ミラルダさん、ジャンヌの事なんですけれど」
「あの子なら外に魔獣狩りに出てるよ。数が多いから少しでも減らしておかないと、安心して眠れやしないからね」
「そう、ですか…」
本当は、一番に謝らないといけなかった。
大切な友人を、私は自分の都合で裏切った。叩かれたのも、それだけ心配してくれていたからなんだ。それなのに私は、ジャンヌの気持ちなんて全然解ってなくて。馬鹿ジャンヌなんて言って。
馬鹿は私だって、ちゃんと謝らなきゃ。
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