騎士の章 Ⅰ

29/35
前へ
/101ページ
次へ
「お昼前には帰ってくるよ。無理しないで、寝室で待ってな」 「いえ、ここで」 ジャンヌが頑張っているのに、横になってる事なんて出来ない。 「ところでミラルダさん、この食材は?」 「クロウって子、よっぽど料理が好きなんだねえ。蔵に沢山仕舞ってあったよ。腐らせるのも勿体無いから使わせて貰ってる。栄養もバッチリさ、大したもんだ」 クロウ君、なんだかんだ言って子供大好きだったもんね。団長が居なくても、きちんとやってたんだ。 それだけに心配だわ。みんなを連れて、何処かに避難していると信じたいけれど…。ううん、彼だって一廉の騎士よ。きっと大丈夫。今はそう信じるしかない。 「ミラルダー、クリスー、おはようー」 重そうな荷物を抱えて、フレイがやってくる。朝から別棟に行ってたみたいだけれど、それを取りに行っていたのかしら。 フレイにも、随分心配を掛けた。彼女はマイペースを崩さないけれど、私を背負ったミラルダさんの代わりに、魔獣だらけの孤児院への道を必死で切り拓いてくれたらしい。 小柄な女の子だけど、私なんかよりよっぽど強くて、大きい。自分が恥ずかしくなるなぁ…。 「おはよう、フレイ。貴女にも随分迷惑掛けちゃったね」
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加