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「団長、クロウ君、お早う」
大当たり。ありがとう神様。
2~3人の屈強な騎士に、大仰な装備を着けた戦馬の中で一際目を引く長く黒い髪。
名門ライデル家の歴史でも最高と称される美貌と、それに劣らぬ卓越した剣術と魔力。
栄光の騎士、クリス・アルトリア・ライデル。
こんなちっぽけな孤児院に、わざわざ其れ程の騎士が出迎えに来るなど中々理解し難い事なのだが、どうもクリスさんは神父に信頼を置いているらしく、城からの使い役があれば率先して志願しているのだとか。
「おおおおお早うございます!今日もご機嫌うるるしく」
透き通った声に凛と咲く一輪の花のような姿。僕が噛むのも仕方ない。
絶望的に司祭服の似合わないオッサンではあるが、この時ばかりは慈愛に満ちた神父様に見えますよ、アクセル。
「よう、クリス。相変わらず色気がねえなあ。剣ばっか振ってないで化粧でもしろよ」
前言撤回。マジ殺したいこのオッサン。
「あら、ひどい。これでも最近は気を使うようになったのですよ?洗髪も毎日していますし」
「そうです侮辱です。謝って下さい神父」
でも洗髪はして下さい、クリスさん。
「いいのよクロウ君、団長はこれが可愛いんだから」
「可愛くねーよ」
ええ、かわいくないです。言わせてもらうならば神父とクリスさんが親しい事自体納得いかないです。
この口が悪い神父の皮を被った浮浪者とあなたの様な天使のどこに共通項が。元上司と部下だからって気を遣わないでいいですよクリスさん。ぶっ飛ばしてもいいんですよ。寧ろぶっ飛ばしてやって下さい。
「何ブツブツ言ってんのお前」
「いえ別に」
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