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「気にすんなー、あんたとあたしの、仲じゃーないかー」
おどけた素振りでフレイは言う。私はどれだけ責められても仕方ない事をしたのに。何時もと変わらないフレイだけど、それだけで救われる。
「ごめんね、有難う」
「何時までもくよくよすんなってー。折角良いものをもってきたんだからさー」
「良いもの?」
そう言って、フレイは荷解きを始める。
「これは…」
甲冑?
それにしては、随分不揃いだ。少し長めの手甲に、膊当て。腰から下は全て揃っているみたいだけど、どちらも片方しかない。
見た事の無い様式で、名のある作品には見えないけれど。それに、まるで私の欠損した部位にあつらえたような…。
「まさか、これって」
「ジャンヌが作ったのさ。あいつの親父さん鍛冶職人だったから。見よう見まねらしいけどね。」
「鋼の鋳造なんて出来なかったからー、私が硬そうな魔獣をいっぱい倒しててきとうに混ぜた素材なのだー。えっへん」
「あいつ、一ヶ月ずっとこれにかかり切りだったからね。祝福は私がやっといた。強度は折り紙付きだよ」
そんな。
そんなの、一言も言わなかったじゃない。
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