騎士の章 Ⅰ

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「気にすんなー、あんたとあたしの、仲じゃーないかー」 おどけた素振りでフレイは言う。私はどれだけ責められても仕方ない事をしたのに。何時もと変わらないフレイだけど、それだけで救われる。 「ごめんね、有難う」 「何時までもくよくよすんなってー。折角良いものをもってきたんだからさー」 「良いもの?」 そう言って、フレイは荷解きを始める。 「これは…」 甲冑? それにしては、随分不揃いだ。少し長めの手甲に、膊当て。腰から下は全て揃っているみたいだけど、どちらも片方しかない。 見た事の無い様式で、名のある作品には見えないけれど。それに、まるで私の欠損した部位にあつらえたような…。 「まさか、これって」 「ジャンヌが作ったのさ。あいつの親父さん鍛冶職人だったから。見よう見まねらしいけどね。」 「鋼の鋳造なんて出来なかったからー、私が硬そうな魔獣をいっぱい倒しててきとうに混ぜた素材なのだー。えっへん」 「あいつ、一ヶ月ずっとこれにかかり切りだったからね。祝福は私がやっといた。強度は折り紙付きだよ」 そんな。 そんなの、一言も言わなかったじゃない。
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