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「付けてみな。中に絡繰りも入ってる。まっとうな義手のようには行かないだろうけど、練習すれば指だって動かせる様になるはずさ」
「ふふん、ミラルダー。わたしとジャンヌで操作系の魔術をいっぱい掛けたのだー。そんなに苦労しないはずだよー」
「や…やってみる」
恐る恐る、付け始める。肉の継ぎ目に当たる所は凄く痛かったけれど、それもすぐに消え、私の体に馴染んでいった。
「なんなの、これ…!」
持った時は異常な重さだったのに、まるで元々自分の物だったみたいに扱いやすい。
脚鎧なんて、太腿の半分くらいまで無くなってたのが、走る事だって出来そうな軽やかさだ。
無骨で、少し禍々しい鉄色とデザイン。
けれど、何故だか凄く柔らかで、愛おしい。
「たでーま。さー、メシだメシだ」
「ねえ!これ凄いわ!これなら、また戦う事だって…!」
「あ…」
入口の扉が開き、帰ってきたジャンヌと目が合った。私の姿を見て、きょとんとした顔をする。
「あ、あのね、ジャンヌ」
「水浴びしてくる」
そのまま扉は閉められた。
「ちょっと…!」
追い掛けようとした私を、ミラルダさんが止める。
「少し落ち着いてからにしなさい」
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