騎士の章 Ⅰ

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「だけど、あたしはジャンヌが好き!私を怒ってくれるジャンヌが好き、心配してくれるジャンヌが好き、喧嘩してる時も本当は好き、こんなに素敵な手足をくれたジャンヌが、大好き!」 ぎゅって抱き締める。こんな事が出来るのも、ジャンヌのおかげなんだ。 「離してよ、手が冷たい」 「嫌だ離さない、暖かいから。ねえ、鉄の腕でも、ジャンヌの暖かさが伝わってくるよ。優しさが、心に伝わってくるよ」 知らぬ間に、私はぼろぼろ泣いていた。やけに涙脆くなった気がする。 「どこまでも恥ずかしい奴だなあ、もう」 「恥ずかしくていいもん、ジャンヌが許してくれるまでずっとこうしてるもん」 「あーあ、なんだかなあ。意地張る気も失せちゃったわ。あー馬鹿だ。あたしまで馬鹿になっちゃう」 「あっ」 「ホント…バカなんだから」 ジャンヌの唇が、私に近づく。やだ、なんて濃ゆいラブコメ展開。私ノーマルだけど、これこそ私の求めていたものだわ! 「ジャンヌ…いいよ」 そっと目を閉じる。ああ、幸せ。 「そっか。じゃあ歯食い縛れクソバカ」 「は?」 愚地克巳ばりの正中線四連突きが決まり、私は宙を舞った。
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