黒の章 Ⅰ

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「で、今日はなんの用だよ。書簡には時間しか書いてなかったぞ。ちゃんとしろよバカ野郎」 バカ野郎はお前だ。クリスさんになんて事を言うのだ。 「ごめんなさい、最近はこのあたりも賊が増えて来まして。城に関する事を外側に出すなと…。ああ、そうだ、クロウ君」 はっ。 「はい!なんでありましょうか!」 まさか僕に話を振ってくるなんて!今日は何ていい日だ!神父、全部許してあげます。 「そういう訳だから、少し外してもらってもいいかしら?もう本当、最近お偉い様方が五月蝿くて」 「は…はい、わかりました」 神様なんていない。 ___ 「あーあ」 結局彼女達はそのまま城へ向かってしまい、あのクソヒゲは「子供達の面倒ちゃんと見るんだぞ、喧嘩しちゃだめだぞ!」とクリスさんの目の前で言い放ち、僕に屈辱だけを与えて行った。 騎士達の笑い声と、アクセルのにやけ顔。思い出すだけで腹立たしい。 ただまあ、クリスさんが思わず微笑んだ、あの表情を見れただけでも少しは救いがあると言うものか。 「完全に道化だなあ、僕。何やってんだろ」
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