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「…ま、そんな訳で、アクセル・ハートランドを訪ねて此処まで旅をして来たって訳だ」
僕が運ばれた寝室で、ヒジリは簡潔にこれまでの経緯を説明してくれた。と言っても、事の詳細をはぐらかす様にだが。
「ふーん、あの親父がねえ」
そもそも親父に神父以外の友人が居た事自体驚きだが、彼もわざわざ心配して様子を見に来てくれるとは。中々どうして、見た目に反して騎士道精神に溢れる男じゃないか。
親父は暫く帰ってこないらしい。まあ、旅に出始めてからは殆ど顔を見せて居ないのだし、そう変わった事でもないが。
「ああ、そうだ。ヒジリ…だっけ?それならば君は如何してルイと言い争いをしていたんだ」
「ルイって、あのおチビか?言い争いなんかしてねーぞ。何を勘違いしてんだ」
「いや、でも…」
「クロウにーちゃん、入るぜ!」
噂をすれば。いいタイミングで来る奴だ。
「ルイ、お前さっきこの人と何を喋ってたんだ?喧嘩になってたんじゃないのか?」
「大人の人と喧嘩なんてしないよ、にーちゃんじゃあるまいし。おれ、ひじりんの剣がかっこ良くてさー、それで、旅の話とか、色々きいてたんだ!」
こいつの話はいつも支離滅裂だが、何となく分かった。ルイ、お前一人で興奮してたな。
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