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「太陽王、ね」
「なんだ、やけに含みを持った言い方をするじゃないか」
「…いや、何でもない。気にしないでくれ」
なんだその妙に腹の立つ台詞は。その言い方だと、気にしてくれとしか聞こえない。お前はかまってちゃんか。
む、いかん、悪い癖が出た。ここで小一時間ネチネチと問い詰めてやりたい所だが、ストーリーを進めないと何時まで経っても終わりやしない。何故僕が語り手の時はこう横道に逸れるのだ。性格か?
「じゃあ、そろそろ行くわ。色々世話になったな」
ほら、しょうもない駄文を書き殴っている内にもうすぐ場面転換だ。また僕だけ本筋から置き去りか、冗談じゃないぞ。
「おいおい、今から出発する気か?もう夜中だぞ」
「そっちの方が都合がいい。あまり人目に付きたくないからな」
…ああ、そっか、こいつ。
「おい!」
荷物を纏め、出て行こうとするヒジリに、僕は包みを投げ渡す。
「なんだこりゃ。…弁当?」
「まあ、なんだ。そんな凶悪なツラじゃ、物乞いもできんだろう。メシを食えメシを。噛み締めて食え。そんで顔の表情筋を鍛えなさい」
「…ありがとよ」
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