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始まりは、何時だって唐突にやって来る。
いや、違う。本当は気付いてた。
物語は、とうに始まっていたのだ。変わって行く世界を、狂って行く歯車を、僕だけが認められずに立ち止まっていた。
終わりの始まり。どうしようもない僕の、どうしようもない物語。
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「良い子のみーんなー!あーさでっすよー!」
静かな朝に、狂った様な金属音が鳴り響く。勿論、発生源は僕だ。
右手におたま、左手に鍋。矢張り一日の始まりは、こうでなくちゃいけない。
「おにーちゃん、朝からテンションたかすぎー」
よう、マリー。君は何時も早起きだな。感心感心。
「おはよう…あれ、にいちゃん、ひじりんは?」
「彼は星になった。ルイの事を空の彼方から見守っているそうだよ」
「あっそう。なんだ、もう行っちゃったのかー。ざんねん」
おい、あっそうて何だお前。なあ、僕の気遣いを全スルーか、なあ。
「おはようごじゃります…」
おはようセシル。いくらキャラ被りが嫌だからってその喋り方はどうなんだ。おじゃる丸みたいだぞ。
「おはようございます。朝からうるさいね。ちょっとは自重すれば」
うむ。ルノー、いい挨拶だ。朝食にたっぷり野菜を入れてやろう。貴様は肉抜きじゃ。
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