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よく晴れた夕焼けの空。
窓の外、沈みゆく太陽をぼうっと見つめながら、そんな事を呟いた。
「おにーちゃん」
「なんだいマリー」
「ふられたの?」
何処でそんな知識を学ぶのだろう、この子。
「はは、どうなのかな。」
振られたも何も、玉砕する機会すら無い訳だが。
「ねえ、おにーちゃん」
「なんだい?」
「元気出して、おにーちゃんにはわたしがいるよ?」
上目遣いで言われた。
うん、この子は危険だ。
一瞬、僕もうロリコンでいいかなと思ってしまった。看板娘恐るべし。
心配そうなマリーにありがとうとお礼を言った後、僕はいつもの様に夕食の準備に取り掛かる。
さあ、明日からまた、ガキのお守りで胃に穴が空きそうな日々が始まるのだ。
頑張らなければ。
__そう、思っていた。
結局のところ僕は、やはり道化だったのだ。
最初から、最後まで。
何もわからまいまま、物語は進んでゆく。
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