黒の章 Ⅰ

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よく晴れた夕焼けの空。 窓の外、沈みゆく太陽をぼうっと見つめながら、そんな事を呟いた。 「おにーちゃん」 「なんだいマリー」 「ふられたの?」 何処でそんな知識を学ぶのだろう、この子。 「はは、どうなのかな。」 振られたも何も、玉砕する機会すら無い訳だが。 「ねえ、おにーちゃん」 「なんだい?」 「元気出して、おにーちゃんにはわたしがいるよ?」 上目遣いで言われた。 うん、この子は危険だ。 一瞬、僕もうロリコンでいいかなと思ってしまった。看板娘恐るべし。 心配そうなマリーにありがとうとお礼を言った後、僕はいつもの様に夕食の準備に取り掛かる。 さあ、明日からまた、ガキのお守りで胃に穴が空きそうな日々が始まるのだ。 頑張らなければ。 __そう、思っていた。 結局のところ僕は、やはり道化だったのだ。 最初から、最後まで。 何もわからまいまま、物語は進んでゆく。
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