黒の章 Ⅱ

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「あ…の」 なんだ、それ。 「御免なさいねえ、地上の穢れを祓うには、これが一番手っ取り早いものだから。後で綺麗に掃除しておきますわ」 意味が解らない。 「シャルル!何処にいる!」 僕は力の限り叫ぶ。何がどうなってる、シャルロットはどこだ。 「シャルルちゃんて言うのね。いい名前。起きた頃に教えてあげますね」 彼女はそう言って、愛おしそうに手に持った心臓を撫でる。血に塗れて、彼女の白い肌が真紅に染まる。 「お前、シャルルに何をした!」 衝動的に殴りかかっていた。悪い予感は、多分当たってる。信じたくないけれど。 「乱暴なお方。貴方は同胞でも無いようだし、どうでもいいのだけれど。それより貴方、その子供達、貰って行っても良いかしら?」 僕の拳が空を振る。彼女はいつの間にか、僕の背後に立っていた。 駄目だ。 駄目だ、駄目だ、駄目だ!彼女は駄目だ!止めろ!早く、振り向いて、彼女を止めろ! 「待っ…!」 「すぐにまた会えるからねえ、お休みなさい、小さな同胞達」 「おにいちゃ…!」 振り向いた先に、地獄があった。 彼女の身体から伸びた幾つもの、槍のようなものが、子供達を貫いている。 血の雨が、僕の身体を濡らしてゆく。
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