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「あ…の」
なんだ、それ。
「御免なさいねえ、地上の穢れを祓うには、これが一番手っ取り早いものだから。後で綺麗に掃除しておきますわ」
意味が解らない。
「シャルル!何処にいる!」
僕は力の限り叫ぶ。何がどうなってる、シャルロットはどこだ。
「シャルルちゃんて言うのね。いい名前。起きた頃に教えてあげますね」
彼女はそう言って、愛おしそうに手に持った心臓を撫でる。血に塗れて、彼女の白い肌が真紅に染まる。
「お前、シャルルに何をした!」
衝動的に殴りかかっていた。悪い予感は、多分当たってる。信じたくないけれど。
「乱暴なお方。貴方は同胞でも無いようだし、どうでもいいのだけれど。それより貴方、その子供達、貰って行っても良いかしら?」
僕の拳が空を振る。彼女はいつの間にか、僕の背後に立っていた。
駄目だ。
駄目だ、駄目だ、駄目だ!彼女は駄目だ!止めろ!早く、振り向いて、彼女を止めろ!
「待っ…!」
「すぐにまた会えるからねえ、お休みなさい、小さな同胞達」
「おにいちゃ…!」
振り向いた先に、地獄があった。
彼女の身体から伸びた幾つもの、槍のようなものが、子供達を貫いている。
血の雨が、僕の身体を濡らしてゆく。
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