プルプル

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僕は素早く、テーブルの上にある箱を取り上げた。 「返してっ!それは私が貰ったの!」それを見た彼女の目が急に吊り上がり、金切り声を上げながら、僕に近づいて来た。 睦子の手を払い退けて、箱の中身を取り出した。残っていたプルプルは3つだった。 「1日1粒の約束だろ?本来なら7粒残ってないとオカシイはずだ。残りはどこだ?隠したのか、それとも、もう___」 「返せっ!それは私の……ぐいsfgぽj!」 発狂寸前の叫びに、最後は何を言っているのか解らなかった。彼女は叫びながら僕に突進して来た。 予想外の行動に僕は尻餅を付き、握っていたプルプルが手から離れた。 睦子は床に落ちたプルプル全てを、包装紙ごと貪った。食べてしまえばこっちのものだと笑みを浮かべる。 その瞬間___彼女の笑みが大きく歪んだ。唇が両端から裂け、眼球が瞼から飛び出し、だらりと鎖骨の辺りで、ぶら下がっていた。 ドロドロと全身が溶け出していき、原型すら解らない。遂には真っ赤なスライム状の物体になってしまった。 僕は突然の出来事と恐怖に固まった。部屋中に甘酸っぱい熟れた果実の匂いが広がった。 ____これは石榴の香りだ。
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