プルプル

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「プルプルというお菓子だよ」   そう言って老人はコートのポケットから、灰色の箱を取り出し、睦子に差し出した。   「必ず、夜寝る前に、1人きりで舐める事。1日1粒を守る事____もし、その3つの約束を破ったら____」   「破ったら?」   その箱をおそるおそる受け取り、睦子が顔を上げてそう訊ねた時には、彼の姿は消えていたらしい。 睦子は貰った灰色の箱をバッグの中から取り出し、僕の目の前に置いた。 二重構造の箱を引き出すと、キャラメルのような正方形のものが1つ1つ包装紙に包まれて並んでいた。 箱から1粒取り出してみた。乳白色の包装紙から、うっすらと中の赤い色が確認できる。   「触った感じはプルプルというか、プニプニだな」   僕は親指と人差し指でプルプルを摘み、触感を確かめた。 「そのプルプルは菊池にあげる。ステキな夢が見れるかどうか、今夜試してみようよ。私も試してみるから、明日学校でどんな夢を見たか、それぞれ感想を言い合おうよ」 「試してみるって、見ず知らずの爺さんに貰ったものを何の疑いもなく、言われた通りに食べるつもりなのか?」
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